【記事】日本人の金融リテラシーは先進国中最下位クラス

【記事】日本人の金融リテラシーは先進国中最下位クラス

お金についての不安が蔓延する日本

 
先進国といわれる欧米から見れば、日本の金融事情はいびつで、閉塞感があることは否めません。

私たちは、身近で毎日使うお金についての知識を、学校からも両親からも会社の上司からも、全く教わってきませんでした。唯一教わったのは、いい高校、いい大学や専門学校に通い、いい会社に就職してお金を稼ぐ、それが世の中の常識だということ。無駄なお金は使わず、コツコツと働いて確実に増やしていくべきだということです。

ただ、その常識は今や通用しなくなっています。出生率は低迷し、人口が縮小し、少子化に拍車がかかっている現在、2050年には20~64歳人口の65歳以上人口に対する比率(総人口)は1.2となり、ほぼ1人の労働層が1人の高齢者を支えていく「超高齢化社会」へ日本が突入していくことは、データで明らかになっています。コツコツと働いたところで給与は上がらず、将来の年金もおぼつかない。こうした「お金に対する不安」が、深層心理として世の中に蔓延しているように思います。

にもかかわらず、日本人の金融リテラシーは極めて低いのが現実です。ある調査によれば、先進国7ヶ国中6位、世界144カ国中世界38位という結果が出ているそうです(S&P Global FinLit Survey より)。
 

学生も陥りがちな「リボ払い」の恐怖とは?

 
金融リテラシーが低いために、いろいろな問題が起きています。たとえば、コツコツと貯金をしてきた人が、いきなりリスクの高い株式やFXなどに手を出すというケース。お金はあっても金融に対する知識がないばかりに、こうした人が後を絶ちません。
 
また、若い世代にも多いのが「リボ払いのトラブル」です。
 
ご存知の方も多いと思いますが、リボルビング払い(リボ払い)とは毎月あらかじめ指定した一定額を返済する方式です。問題点としては、支払額(借入額)が多くなると返済期間が長くなり、利息の負担が著しく増加することです。つまり利息ばかり払い続けて元本(借入金額)がほとんど減らない状況に陥る危険性があるのです。
 
大学生になって初めてクレジットカードを手にした人が、「月々の支払いが少ないから」という理由でこのリボ払いを使って欲しいものを限度額まで購入。ただ、いつまでたっても支払いが終わらずに、ついには自己破綻する……そんな学生が少なくないそうです。これは、親が子供に金融知識やリスクをしっかりと教えていないからこそ起こるケースでしょう。ちなみに、消費者金融が原因で多重債務者に陥るのは大半がこのケースです。テレビCMで金融会社がリボ払いを推しているのを見ると、恐怖を感じます。
 

資産ではなく「私産」を増やすことの重要性

 
こうした状況に危機感を覚え、2011年5月に国際弁護士や士業など4人の発起人と「日本私産運用協会」を設立し、約7年半が過ぎようとしています
 
「日本の金融知識を高め、人々を幸せにし、日本を豊かにする」
「次世代に伝えられる正しい金融教育を普及させることにより、明るい未来を創る」
 
これらの実現を目指していきたいという思いの元、全国に200名の講師(事務局ではプランナーと呼んでいます)の方々が、全国で「初心者からの私産運用セミナー」勉強会を開催するなど活動をしております。
 
ところで、我々が「資産」ではなく、「私産」という表記をしているのは、間違いではありません。資産というと実際に保有しているものだけと捉えられがちですが、お金についての知識や経験も含め、すべてが大事なプライベートアセットだと定義して、「私産」と表現しているのです。個人なら個人単位の、夫婦であれば世帯単位での私産を増やしていくことが、将来の安心につながっていきます。
 

いきなり「資産運用セミナー」に出るのは危険?

 
では、実際に必要な「お金の知識」とは何か。多くの人は「お金を増やすための知識」だと考えると思います。ただ、実はこの考え方は極めて危険です。

多くの「資産運用」についての勉強会や資産セミナーでは、どうやったらお金を増やせるかというところに重点を置いているように感じます。ただ、お金についての基礎知識がない状況で「どうやって増やすか」ばかり追求するということは、自宅を建てるにあたって地盤調査も何もせず、さらには土台のくい打ちすらせずに家を建て始めるようなものといっても過言ではありません。これでは、30年、40年も住むような家を建てることは不可能です。

そして、それはお金の運用も同じこと。子供や孫の世代にまで渡って揺るがないお金に対する安定を求めるなら、まず「お金についての知識を得る」ことからスタートしなくてはならないのです。具体的には、「私産を知る」→「私産を作る」→「私産を増やす」→「私産を活かす」、 この“4つのステップ”を順番に高めていくことがとても重要です。
 

江戸時代から続く「お金についてのバイアス」とは?

 
お金についての知識と言ってもいろいろありますが、我々が重視しているのが「お金の歴史を知ること」です。
お金の歴史を知ることがなぜ重要なのか。一例を上げましょう。

日本人の多くが抱いている感情に「お金は卑しいものである」というものがあります。あまり声高にお金のことを語るのは品が良くない。ただ、その常識があるために、金融リテラシー教育が遅れてしまっているという側面があることは否めません。

ではなぜ「お金は卑しいものである」と我々は考えがちなのかというと、それは江戸時代まで遡ります。

江戸幕府が布いた「士・農・工・商」制は、職業を4種類に大別するものでした。身分として一番上に置いたのは武士、その下には農民そして職人というモノづくりの職業を置き、お金を扱う商人は一番下の階級でした。当時の武士たちはお給料(俸禄)をお米でもらっていました。「貴穀賤金(きこくせんきん)」という言葉があったように、江戸時代の経済思想の一つとして金(当時の銭)よりも米穀を重んじるべきとする思想があったそうです。その結果、お金に関することを口にすることは卑しいという風潮が生まれたようです。

ただし、江戸時代も末期になると米よりも貨幣の価値が高まり、身分的には下であるはずの商人に頭を下げて借金をする武士も多かったと言います。幕府崩壊後はいうまでもなく、貨幣経済の時になり、今に至ります。

にもかかわらず、我々の潜在意識にはいまだに江戸時代の意識が刷り込まれているわけです。これを知るだけでも「お金は卑しいものである」という常識が、いかに一面かがわかると思います。「お金にはどんな歴史があるのか」「お金が果たす役割とは何か」……それを知ることが、日本人の金融リテラシーを高めるスタートとなるのです。


日本私産運用協会 運営事務局
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